マンションを入居する時に注意したいのが諸費用です。住宅ローン関係の費用、登記費用、固定資産税、不動産取得税など様々な諸費用が発生します。その中の一つにマンション管理費用があります。マンションの区分所有者になったら毎月継続的に支払することが必要です。
購入資金や住宅ローンの頭金だけじゃなく、管理費用の支払まで考えることが重要です。
この管理費用が払えないとどうなるのか、払えない時の対処方法について解説していきます。管理費用の支払が気になる方は参考にしてみて下さい。
マンション管理費用とは?幾ら必要?
マンションの管理組合に支払するのが管理費用です。毎月支払したマンション管理費用は何処に使われるのか気になりますよね。マンション標準管理規約(単棟型)第27条にて管理費用の使い道が明確に定められています。
マンション管理費用は何処に使われる?
主な使い道は次の通りです。
・公租公課
・共用設備の保守維持、運転費
・備品費や通信費、事務費
・共用部分などの火災保険料や損害保険料
・経常的な補修費
・清掃費や消毒費、ごみ処理費
・委託業務費
・管理組合の運営費用など
マンションの日常的な管理に使われている費用となっています。
修繕積立金も毎月支払
管理費用の他にも発生するのが修繕積立金です。マンションでは20年や30年といった長期修繕計画を立てており、共用部分の維持と修繕のため入居者から集金しています。修繕積立金も管理費用と同様、毎月支払することが必要です。
マンション管理費用は幾ら必要?
大規模なタワーマンションといった物件には一度は入居してみたいですよね。しかし相場より管理費用が高くなるため、事前に管理費用が幾ら必要なのか理解したいところです。
マンションの階数別で見た管理費用の相場は次の通り。(1戸当たり)
・20階建てまで 12,000円~16,000円程
・20階建て以上 13,000円~20,000円程
20階建て以上のマンションは室内からの眺めが良くなりますが、管理費用が高くなるために注意が必要です。
マンション管理費用が払えないとどうなる?
マンション管理費用は月々負担が分散されますが、経済的な事情などで払えないとどうなるのか気になるところ。管理費用の支払方法は口座振替が一般的となっています。
自動的に金融機関の口座から管理費用が引き落としされるため、入居者自ら振込することはありません。しかし口座が残高不足になると引き落としができなくなります。
催促が始まる
マンション管理費の集金は管理会社に委託している場合が多いです。残高不足により支払の確認が取れない場合は委託している管理会社による催促が始まります。
多くのケースで管理費用の滞納が長引くほど一括で払うのが難しくなるため、管理会社では早期回収を行うことが多いです。管理会社によって異なりますが、1か月目の滞納から電話による催促を行います。中には書面や訪問で催促する管理会社もあるのです。
滞納6か月目に入ると支払督促が始まります。
この支払督促は内容証明郵便によって行うのが基本です。差出人や宛先、送付した日時、郵便物の内容などを証明するのが内容証明郵便。管理費用を滞納している入居者に対しての強い警告となるため放置してはいけません。
最終的には強制執行へ
支払督促が始まってもマンション管理費用が払えない場合、強制執行が始まる恐れがあります。強制執行では口座や給与などが差し押さえとなるため、注意が必要です。給与差し押さえは会社に知られてしまうため、なるべく早めに支払して下さい。
マンションの管理費用も支払えないとなると、大事になってきます。そこで、支払えない場合の対処方法について、以下を参考にしてみてください。
解決策
住む場所を変える
マンション管理費用の安い物件を探す
これからマンションへの入居を予定している方は管理費用の安い物件を探すという対処方法が有効。ハイグレードマンション、高級マンションなど管理費用の高い物件ではなく、一般的なマンションへの入居を考えます。
10階建てから19階建てまでの物件
10階建てから19階建てまでのマンションは管理費用の相場が比較的安いために狙い目。
20階建て以上は相場が上がるために避けたほうが良いでしょう。
駅徒歩15分以上の物件
マンションが最寄り駅から近いほど通勤通学が便利になりますが、管理費用も高くなる傾向があります。管理費用を抑えたい時、多少歩いても大丈夫という時は駅徒歩15分以上の物件を選ぶと良いでしょう。
首都圏のマンションなら2,999万円以下の物件
首都圏のマンションでは2,999万円以下の物件に管理費用が安い傾向があります。億を超えるマンションは管理費用が高くなるために注意して下さい。
ただし相場より安すぎる管理費用の物件は管理が行き届いていない恐れがあります。清掃が行き届かないと汚れが目立つ、共用設備の保守が行き届かないと故障する恐れがあるため、相場に合った管理費用の物件を探したほうが良いでしょう。
お金を借りる(公共機関から)
社員貸付金制度を利用できない場合は生活福祉資金貸付制度を利用する方法があります。
低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯への支援を目的とし、都道府県社会福祉協議会が実施しているのが生活福祉資金貸付制度。無利子または低い利子でお金が借りられるメリットがあります。生活福祉資金貸付制度には次のような種類を用意しています。
・福祉資金
・教育支援資金
・不動産担保型生活資金
生活福祉資金貸付制度の注意点
生活福祉資金貸付制度は誰でも利用できる制度ではありません。審査に合格しないと利用できないため、審査基準に外れている方は注意が必要です。
審査では返済能力が問われますので、クレジットやローンなどで大きな借金を抱えている方は却下される恐れがあります。マンションの管理費用支払でも利用できるのか、分からない時は市区町村社会福祉協議会または都道府県社会福祉協議会へお問い合わせしてみると良いでしょう。
年金担保貸付事業は廃止へ
以前は年金担保貸付事業があり、国民年金や厚生年金などを担保に入れてお金を借りることができました。しかし年金を担保に入れる行為は生活困窮に陥るリスクが高いため、廃止が決定しています。恩給・共済年金担保融資は利用できますが、共済年金や共済組合が支給する厚生年金の支給を受けている方が対象です。
お金を借りる(生命保険加入者)
生活福祉資金貸付制度を利用できない方は生命保険に加入していれば契約者貸付制度を利用する方法があります。加入している生命保険の保険会社からお金が借りられるのが契約者貸付制度です。
生命保険を解約した時に受け取りできるのが解約返戻金。しかし解約してマンション管理費用に回すと万が一の時に補償が受けられません。そんな時でも契約者貸付制度であれば生命保険の解約は不要です。さらに低金利でお金を借りられるメリットも享受できます。
借りるまでの流れは?
契約者貸付制度で借りるまでの大まかな流れは次の通りです。
・保険会社が必要書類を送付
・必要書類の必要事項に記入して返送
・口座への振込またはATMにて借入
契約者貸付制度の注意点
解約返戻金が担保になる関係上、解約返戻金の無い保険では利用できません。借りられる金額は解約払戻金までに限られます。
複利を採用する契約者貸付制度が多くなっており、単利よりも利子の支払が大きくなるために注意して下さい。解約返戻金よりも利子のほうが大きくなると保険が失効または解除される恐れがあります。
お金を借りる(勤務先から)
勤務先から、社員貸付金制度を利用するのも有効です。社員貸付金制度とは文字通り、会社が社員に対してお金を貸す制度のことを言います。
勤続年数の長い社員ほど、借りられる金額が大きくなるのが基本です。お金を借りた後には元本に利息を付けて返済しないといけませんが、社員貸付金制度は金利が低いため利息分を抑えやすいのです。
社員貸付金制度の注意点
資金使途など貸付条件が会社によって異なりますので、管理費用の支払でも利用できるのか事前に確認して下さい。会社によっては保証人を求めてきます。
その他にも注意したいのが退職すると一括返済が求められる点です。転職する予定がなく、長く勤務できる方に向いている制度となっています。社員貸付金制度を用意しない会社もあるため、事前に調べておきましょう。
まとめ
ここまでマンション管理費用を払わないとどうなるのか、払えない時の対処方法について解説してきました。ポイントをまとめると次のようになります。
・支払督促を放置すると強制執行が始まる
・これから入居する方はマンション管理費用の安い物件を探す
・生活福祉資金貸付制度、契約者貸付制度、社員貸付金制度などを利用