ワインへの投資は日本ではまだなじみが薄い投資方法ですが、ヨーロッパでは伝統的な投資の一つです。特にフランスでは、銀行融資の際にワインの資産価値が担保として認められ、さらに相続税がかからないといった利点があります。さすがワインの本場ですよね。

日本ではワインは相続税の対象になっているのですが、純粋に投資としてのメリットがある、高いリターンが得られると、近年ワイン投資の人気が高まっています。

そんなワイン投資についてのメリット・デメリット、具体的なやり方などについてご紹介します。

ワインの価値を高めて売却する

ワイン投資とは、主に熟成前の若いワインを投資用として購入して、時間をかけて熟成させ、価値を高めてからワインを売却して利益を得るという投資方法になります。

とはいえ、飲み物であるワインに投資をして意味があるのか、疑問ですよね。

ワインにはヴィンテージ(生産年)というものがあります。ワインは1年の製造量が限られており、同じヴィンテージのワインは2度と作られません。2019年のワインは2019年にしか生産されません。

また、質の良いワインは生産される数に限りがあります。高級ワインとして有名なロマネ・コンティなどは年間約6000本程しか作られません。つまり、ワインはヴィンテージと生産数という点から高い希少性を持っているんです。

また、ワインは飲んで消費されてしまうため、古いヴィンテージであるほど年々消費され、絶対量は少なくなっていきます。これが希少価値を生み、価格をさらに押し上げます。

さらに、ワインにはそれぞれ飲み頃があります。特に高級ワインと呼ばれるものは長期熟成することでより味が良くなり、価値が上がると言われています。

つまり、以下の3つの理由によりワインには高い資産価値があります。

・数に限りがある
・時間が経つほど希少性が増す
・時間が経つにつれ熟成されていく

どんなに資産価値があると言っても、それを買ってくれる人がいないと、つまり需要がないと投資としては成り立ちませんよね。その点も、ワインには高い需要が存在します。

先ほど例にあげた高級ワインであるロマネ・コンティは1本買うのに最低でも100万円はかかると言われていますが、それでもこのワインを求めている人が大勢います。

このように、ワインには高い需要と希少性があるので、ワイン投資が成り立つんです。

ワイン投資の具体的な方法

ワイン投資がどんなものかわかったところで、実際にどのように始めたらいいのでしょうか?ワイン投資の手順は基本的に以下の3ステップになります。

1. 買付 ・・・投資用ワインを探して購入する
2. 保管 ・・・ワインの保管場所を見つける
3. 売却 ・・・ワインの価値が上がった時に売却する

ステップとしては非常にシンプルですが、このステップを自分でやるのかどうかによって、ワイン投資の方法は以下の2パターンがあります。

・現物投資
・ファンドへの投資

現物投資とは、ワインを自分で購入する方法

ワインを買うだけとシンプルな方法ですが、ワインの選定、保管、売却をすべて自分で行う必要があります。フランス語や英語が堪能で十分なワインの知識があれば、海外のワイナリーと直接やりとりをして購入するという方法もありますが、これから始めようという場合には、信頼性の高いワイン商から購入するというのがスタンダードなやり方です。

どこからワインを購入するか?

ワイン商の中でも世界的に有名なのは、BERRY BROs. & RUDD(ベリー・ブラザーズ&ラッド)社です。17世紀創業のイギリスの名門ワイン商で、英国王室御用達という信頼性の高さに加え、日本にも支店があり、日本支店サイトでは日本語で情報収集でき、ワイン投資についてのアドバイスを電話やメールで直接求めることも可能です。何より、ワイン現物の購入だけでなく、保管や売却までを自社倉庫を使ってすべて引き受けてくれます。

保管料に保険がかかっており、ワイン破損時の保証もあります。

購入は半ケース(6本)から可能で、銘柄によっては10万円を切るお手頃価格です。保管手数料も1ケース年間10.8ポンド(2000円程度)と安く、売却時も名義変更するだけですのでワインの移動による劣化リスクもありません。思ったように値上がりしなければ、送料はかかりますが日本に送ってもらい、自分でワインを飲むこともできます。

どのようにワインを売却するか?

売却は、ベリーズ・ブローキング・サービス(BBX)という仕組みにより、サイト上で顧客が自由に値段をつけて売却できます。手数料は購入時にはかかりませんが、売却時に10%がかかります。手元にないものを、手間をかけずに売買できるので、ワイン投資としてはかなりシンプルに行うことができる方法です。

ワインファンドへの投資とは?

ファンドへの投資とは、ワインファンドへお金を出資する事で、ワインでの資産運用をファンドに委託するという方法です。ファンドは複数の投資家から資金を集め、ワインを購入して値上がりを待ちます。

ワインファンドは、巨額の資金が必要なため個人では不可能に近い銘柄分散投資が可能という点と、ワイン銘柄選びをプロに任せられるという点がメリットですが、現在日本国内にワインファンドは存在しないため、ワインファンドに出資する場合海外のワインファンドを利用するしか選択肢がありません。

ワインファンド投資のリスクとは?

また、ワインファンドには会社の倒産リスクがある点と、手数料がかなりかかるというデメリットがあります。ワインファンドの手数料としては、買付時手数料3%プラス消費税、運営報酬として年間1.75%、成功報酬として年間利益の20%、他にも実費として保管手数料や鑑定報酬などがかかります。

ワイン投資はこれらの方法ではじめることができますが、ワイン投資で利益を上げるためには、人気のある重要性の高いワインを購入する必要があります。そのため、ワイン投資を始めるにはそれなりの資金が必要となります。ワイン投資の資金として最低でも100万円から、ワインファンドに投資する場合も、最低でも200~300万円という資金が必要となります。

ワインの適切な保管にはワインセラーが必要

ワインを自分で購入して保管する場合、ワインを適切に保管するワインセラーが必須となります。投資目的として購入したワインであれば、保管状態によっても値段が変わってしまうのでワインセラーはとっても重要なアイテムとなります。

ワインセラーとワインクーラーの違い

まず、ワインセラーとワインクーラーの違いですが、一番の違いは加温機能があるかどうかです。加温機能があるのがワインセラー、加温機能がなく冷やすだけなのがワインクーラーです。気温が30度を超えたり、氷点下になったりするのは、ワインの劣化原因になります。ですのでワインセラーで温度と湿度を一定に保つ必要があります。

おすすめのワインセラー

ワインセラーを選ぶ時のポイントとして大事なのが長期熟成させるかどうかです。ワインセラーに長期にわたって保存し熟成を考えるのであれば、加温や加湿機能がついており、保証が充実しているワインセラーを選びましょう。

ワインセラーの老舗で有名なのは、フランスのアルテビノ、ユーロカープと、日本製のフォルスター・ジャパンです。

本格的な大型のワインセラーであればアルテビノ、機能と価格をデザインのバランスを考え~30万程度で選ぶのであればユーロカーブかフォレスターがお勧めです。

アルテビノ FVP03 最大収納本数175本 325,000円(税別)
ユーロカーブ 6170D 最大収納本数170本 651,950円(税別)
フォルスター ST-407FGⅡ 最大収納本数120本 535,000円(税別)

ワイン投資で、売却益をえるのが目的の場合、必ずしもワインを個人保管までする必要がなく、投資として割り切るなら、専門家に保管も委託。もし個人で購入・保管したい人にはワインセラーを活用するという棲み分けが良いかもしれません。

ワイン投資のメリット

投資対象として、他の投資方法と比べた場合、ワイン投資はどの様なメリットがあるのでしょうか。ワイン投資には以下の4つのメリットがあります。

メリット1:実物資産である

ワインは、そのもの自体に価値がある実物資産です。株式投資のように、会社が倒産したら株券の価値がゼロになってしまうということがありません

メリット2:インフレに強い

インフレとはお金の価値が下がることを言います。資産をすべて現金で持っている場合、お金の価値が100分の1になってしまうということは、資産が100分の1になってしまうということです。

しかしながら資産の一部をワインという現物で保有していれば、資産をすべて現金で保有している場合よりも、インフレによる資産の減少を防ぐことが可能になります。

また、お金の価値が下がると相対的に物の価値は上昇します。お金の価値が100分の1になってしまうということは、物の値段が100倍になっていると言えます。物の値段が100倍になっているのであれば、100万円で買ったワインを手放す場合、100倍の1億円で売れる可能性があるということです。

メリット3:運用の手間がかからない

ワイン投資は、現物であるワインを購入して保管場所を確保したら、あとは価値があがるのを待つだけと、投資の方法としてとてもシンプルです。金融の専門知識なども不要です。

メリット4:分散投資の選択肢の1つ

資産運用する上で分散投資はリスク低減の重要な要素であり、ワイン投資は、株や不動産などのほかの金融商品と値動きが異なるものなので、投資を分散する選択肢として有力だと言えます。

ワイン投資のデメリット

それでは、反対に他の投資方法と比べて、ワイン投資にはどの様なデメリットがあるのでしょうか。

デメリット1:短期的な投資向きではない

ワイン投資は、株やFXのように短期的に利益を得られるタイプのものではありません。ワインの価値は年月を経て年代物となってから上昇していくので、購入してから少なくとも5年以上はじっくり熟成させる必要があります。

デメリット2:ワインの知識と目利きが必要

ワインの世界は非常に奥が深く、知識や経験が必要となります。生産者と直接やり取りをするか、投資ワインを扱う優良な会社を選ぶ目を持つことによってリスクを回避できます。

デメリット3:為替リスクがある

ワイン投資で取引されるワインのほとんどは、フランスを中心としたヨーロッパ諸国やアメリカ産となります。そのため購入時と売却時の為替差によって利益が左右されるリスクがあります(為替差によって儲かる可能性もあります)。

デメリット4:ワイン購入費以外の諸経費がかかる

ワイン投資は、ほかの一般的な金融商品と比べて諸経費が比較的高いです。購入時と売却時の手数料や、ワインを保管する倉庫保管料など、ワイン購入費以外の諸経費がかかります。売却益も課税対象となります。

まとめ

ワイン投資にはワインに対する深い知識が必要で、偽物が流通することもあるため、本物かどうかを見抜く「目」も大切なので、アドバイザーとして信頼できるワイン商を選ぶことが重要です。

ファンドを利用する場合は、自分でワインを売買する必要がなく、手軽に投資を始めることができますが、詐欺まがいのファンド会社もあり、会社の倒産などにより出資した分が償還されないケースもあるので注意しましょう。

世界的に有名なワイン商であるイギリスのベリー・ブラザーズ&ラッド社は日本にも支店があり、定期的にワインセミナーやセラー・プラン説明会を開催しているので、ワイン投資に興味がある方は説明会を一度覗いているのもよいでしょう。

・ワイン投資は、若いワインを購入し、熟成させてから売却する投資
・ワインは、生産数に限りがある、時間が経つほど希少性が増す
ワイン投資は現物資産で、インフレに強い
・ワインの知識と目利きが必要
・ワイン投資の方法は、現物投資とファンド投資の2種類
現物投資の場合は、自分で購入する方法とワイン商を利用する方法がある
・ワイン商で有名なのは、ベリー・ブラザーズ&ラッド社
・日本支社もあり、ワインの購入から保管・売却まですべて対応
ワインファンドのメリットは、分散投資、ワイン銘柄選びをプロに委託
・現在日本国内にワインファンドは存在しない
・ワインファンドに出資する場合は海外のワインファンドを利用
・ワインファンドのデメリットは、会社の倒産リスク、手数料がかかる