痴漢冤罪示談金

混雑している電車に乗っている最中、突然手を掴まれて「この人痴漢です」と言われたらどうしますか。殆どの方でどうしたら良いのか分からないのではないでしょうか。

そんな時は示談を成立させるという方法があります。しかし示談が成立した時には痴漢冤罪示談金が発生するため、払えないとどうなるのか気になりますよね。そこで示談金の相場も含めて痴漢示談についてご紹介します。

痴漢の示談とは

示談とは当事者同士で話し合いを行い、お互い納得できる形で解決することを言います。
起訴するかどうか決定しているのは検察官です。次の2点を重要視しているといわれています。

・被疑者(痴漢した人)の前科の有無
・被害者(痴漢された人)の処罰感情

痴漢の場合は起訴されると99%有罪になると言われているのをご存じですか。問題を大きくしないためには起訴されないことが重要となっています。ただ、そんな時でも示談が成立し、被害者の処罰感情が薄まれば不起訴処分になる可能性が高いのです。

痴漢行為は、

迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪

と2つに分かれます。

迷惑防止条例は自治体ごとに制定している条例のため、自治体によって刑罰が異なります。

東京都の場合では痴漢による迷惑防止条例違反で捕まると「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑罰。

強制わいせつ罪で捕まった場合は「6月以上10年以下の懲役」となり、迷惑防止条例違反よりも刑罰が重くなっています

痴漢した人に前科があった場合は不起訴処分になるのは難しいでしょう。

痴漢の示談金の相場について

示談を成立させる上で重要なのが示談金ですが、被害者が納得できる金額はどの位になるのか分かり難いことがありました。
痴漢の示談金の相場は迷惑防止条例違反になるか、強制わいせつ罪になるかで大きく変わります。

迷惑防止条例違反の場合は30万円から50万円ほど

が相場となりますが、

強制わいせつ罪の場合は60万円から100万円ほど

と倍になります。

その他にも示談金の相場は被害者の処罰感情や痴漢した人の経済力や社会的地位などによっても変わってきます。処罰感情が高い場合、痴漢した人の経済力や社会的地位が高い場合は示談金の相場が上がる傾向が強いです。

痴漢の示談の流れについて

ちなみに、痴漢を認めている場合は、示談に持ち込むのが良いとは思いますが、どの様な流れで交渉するのかをご紹介します。

1.弁護士に依頼

被害者の連絡先が分かっていれば示談交渉ができますが、感情が高まってしまうと示談の成立が難しくなります。お互い納得できる形で話し合いがまとまらないことも多いですが、そんな時は弁護士に依頼すると良いでしょう。

2.被害者に謝罪文を送付し、示談の意思を伝える

起訴されないよう、被害者に示談の意思を伝えることが必要です。連絡先が分かったら被害者の処罰感情が薄まるよう、謝罪文を送付しておくと良いでしょう。痴漢の謝罪文のテンプレートがネット上に配布されていますが、あくまでも参考程度に留めておき、自分の言葉で謝罪文を書いたほうが良いです。

3.示談金額を提示する

示談金額の提示をミスすると被害者の処罰感情が高まりかねません。相場を参考に設定したいところです。弁護士に依頼している場合は相談しながら適切な示談金額を提示します。

4.交渉を行う

痴漢した人から示談金額の提示を行った後、被害者からも示談金額の提示がありますが、最初の提示より高くなることが多いです。お互い納得できる示談金額まで交渉を重ねていきます。

5.合意が得られたら示談書を作成する

交渉の結果、お互い合意が得られたら示談成立へと進みます。口頭だけでは後で問題に発展しかねないため、示談書という書面を残すのが基本となっています。

6.示談成立へ

作成した示談書には被疑者、被害者の双方で署名と捺印を行います。示談が成立したらその内容に基づいて示談金の支払を行っていきましょう。

払えない場合減額はできるの?払わないとどうなる?

1.相場よりも高い場合は交渉により減額されることがある

示談金額には過去の判例から出した弁護士基準(裁判基準)、つまり、相場というものがあります。被害者から提示された示談金額が相場より明らかに高い場合は交渉によって減額されることがあります。

2.払えないと示談が無効になる可能性あり

30万円から50万円ほど、場合によっては60万円から100万円ほどの示談金額を現金一括で支払するのでは厳しいことがあります。示談金が払えないとせっかく成立した示談が無効になりかねません。

そんな時は被害者との話し合いの時に分割払いに応じて貰うと良いでしょう。

示談金50万円であれば頭金として10万円支払し、残りの40万円は毎月8万円ずつ5か月かけて支払するといった方法です。この時の頭金はなるべく多くしたほうが検察官の心証が良くなるため、不起訴処分へと繋がりやすくなります。

3.最悪刑務所に入る可能性あり

起訴されないためには示談書の作成だけでは不十分です。

示談金の支払まで行わないと検察官が支払せずに逃げてしまう可能性があると判断し、起訴されてしまうことがあります。裁判で有罪となると最悪刑務所に入る可能性があるのです。

そもそも痴漢冤罪から免れるにはどうすべきだったの?

示談を求めるということは痴漢を認めたことになります。痴漢行為を否認したまま、示談交渉を行っても被害者の心証が悪くなるために成立が難しくなるのです。

この時に注意したいのが痴漢免罪であったにも関わらず認めてしまう行為。駅員室に連れて行かれると痴漢免罪でも認めてしまうことがありました。

痴漢行為は現行犯逮捕が基本となりますが、これは警察では無く一般人でも行うことが可能です。駅員室に連れて行かれるということは、現行犯逮捕になってしまいます。駅員室から警察に連れて行かれた際、免罪であることを主張し続けると長期拘留され、認めるまで中々解放されないことがあるのです。

1.免罪の時は逃げたほうが良い?

痴漢で現行犯逮捕となると実名でマスコミに報道され、社会的な制裁を受ける可能性があります。そのため痴漢免罪だった時は逃げたほうが良いのか判断に迷うのではないでしょうか。

痴漢に間違われるケースは少ないでしょうが必ず100%ゼロではありません。痴漢免罪の時は駅員室に同行しないほうが良いですが、逃げ方には注意が必要です。

2.その場から立ち去る

逃げ方が悪いと新たな罪になる可能性があります。痴漢と騒がれると周りの人が集まることが多いですが、押しのけるといった行為は避けたほうが賢明です。

もし暴力を行うと暴行罪に、怪我を負わせると傷害罪に問われる恐れがあります。なるべく穏やかにその場から立ち去ると良いでしょう。

3.線路に飛び降りてはいけない

痴漢と疑われた人が線路に飛び降りて逃げたというニュースを見たことはありませんか。
しかし線路に飛び降りる行為は往来危険罪に問われることがあるのです。線路に飛び降りると電車に轢かれるリスクが高くなるため、行ってはいけません。

4.脅してはいけない

被害者を脅して逃げるという行為は脅迫罪に問われる恐れがあります。なるべく穏便に「私は痴漢していない」「触っていない」と伝えたほうが良いでしょう。

痴漢免罪では第三者の証言が有効になりますので、周りの人に取り囲まれて逃げたくてもできない場合は目撃者が居ないかどうか、居たら証言して貰えるかどうか誠実
に頼んでみると良いでしょう。

5.痴漢冤罪保険に加入する方法もあり

痴漢免罪は満員電車で発生しやすいため、なるべく避けたいところです。しかし通勤でどうしても満員電車に乗ることが必要といった場合は避けるのが難しくなってしまいます。

そんな時は痴漢冤罪保険に加入するという方法もあります。痴漢冤罪保険に加入していると痴漢免罪が発生した際、すぐに弁護士にヘルプコールがかけられるようになります。弁護士から適切な指示が受けられますので、如何したら良いのか分からない時でも安心です。

まとめ

ここまで痴漢の示談金の相場や示談の仕方、そもそも痴漢免罪となる方法等をご紹介しました。満員電車内では誤解も発生しやすいため、疑われないようなことも必要なのかもしれませんね。

・痴漢の示談は当事者同士で話し合い
・痴漢の示談金額の相場は30万円から50万円ほど
・強制わいせつ罪の場合は60万円から100万円ほど
示談金が払えないと示談無効となり、起訴処分の可能性も
・払えないと最悪刑務所に入ることがある
・穏便に逃げたいところだが、他の罪にならないように注意