近年職業のひとつとして認知されるようになったユーチューバー。動画投稿サイトYouTubeなどの動画サイトに動画を配信することによって収入を得る人たちのことで、小学生の男の子が将来なりたい職業に選ぶ職業のトップ10にもランクインしています。そんなユーチューバーのひとつにVチューバーがあります。

Vチューバーとはバーチャルユーチューバーとも言われており、Vはバーチャル(virtual)のVで「仮想の」という意味になります。つまり、Vチューバーとは、人間ではなCGなどで作成されたバーチャル(仮想)キャラクターのユーチューバーのことを言います。自分の顔を出さずに動画を配信することができるので、増えています。

そんなVチューバーの作り方、どのようなものをそろえる必要があるのか等についてご紹介します。

Vチューバーとは

冒頭でもご紹介していますが、Vチューバーとは、架空のキャラクターのユーチューバーのことです。2次元のキャラクターが登場するという点では、通常のユーチューバーとは異なるVチューバーですが、配信される動画の内容はそれほど大きな違いはありません。

人ではなく2次元のキャラクターが登場するというと、AI(人工知能)を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、Vチューバーは別にAIで動いているわけではありません。AIでバーチャルキャラクターを動かすという技術もありますが、Vチューバーのように表情豊かで滑らかに動かせるほどではありません。

Vチューバーは人が存在します

基本的にどのVチューバーにもいわゆる「中の人」がいます。また2次元のキャラクターも、かわいい女の子のキャラクターがやはり多いのですが、中には幽霊など様々なキャラクターがあります。

Vチューバーの作り方

では、実際どのようにすればVチューバーを作ることができるのでしょうか?

実は、Vチューバーが登場し流行り始めたのがまだ最近のため、Vチューバーの作り方が確立されているわけではありません。Vチューバーによってクオリティや作り方にはばらつきがあります。そこでここではざっくりとやり方をご紹介します。

PCまたはスマホを用意

まずはPCもしくはスマホを用意しましょう。

【PCの場合】
・カスタマイズ性や自由度が高い
・全身の動きを取り込んで、モデル(キャラクター)に反映できる
・ライブ配信や動画作成はPCを使うのが一般的
【スマホの場合】
・簡単でハードルが低い
・用意するのはスマホとアプリだけでよい

PCとスマホ、どちらでもいいのですが、できればPCをお勧めします。なぜかというとスマホに比べると自由度が圧倒的に高いからです。

例えば、使用するモデルですが、インターネット上で配布されているモデルをダウンロードして使うことができたり、また外見を変更して様々なキャラクターになることができます。

フェイストラッキングも利用しよう

顔の表情をモデルに反映させることをフェイストラッキングといいますが、これもPCの方が得意です。スマホだと、現時点ではiPhone Xシリーズが対応しています。これ以外のスマホの場合は顔の表情がきちんと認識されなかったりします。

手軽さを重視する場合はスマホを使うという方法ももちろんあります。スマホの場合には、「エモモ」「カスタムキャスト」などのアプリが登場しているので、それらを利用しましょう。

Vチューバーの映像を作る手順

使用する機材によって多少異なりますが、以下の手順が大まかな流れになります。

1.キャラクターの設定

まずはモデル(キャラクター)を用意する必要があります。モデルには以下があります。

・既存モデル
・オリジナルモデル

ハードルが低いのは既存モデルになります。既存モデルというと、用意されているキャラクターをそのまま使うだけで何もカスタマイズできないと思われがちですが、ソフトによっては顔や服装、アクセサリーなどを変えることができ、個性を出すこともできます。
既存モデルを用意できるソフトについては、制作ソフトのところでご紹介します。

オリジナルモデルは、自分で新規に作るモデルです。作るモデルが2D(平面)にしろ3Dにしろ知識が必要なため手間や時間がかかります。

モデルを作るソフトは、2Dモデルは「Live2D」、3Dモデルは「Blender」や「Unity」などを使います。

2.機材を用意

モデルが用意できたら、次はモデルの動かし方です。

モデルを動かすためには「中の人」の動きや位置を認識して追従するトラッキングという機能を使用します。PCで「中の人」の動きをモデルに反映させる機器は以下の3種類あります。

・Webカメラ
・VR
・モーションキャプチャーデバイス

一番手軽な方法はWebカメラです。

顔の表情や頭の動きをトラッキングすることができます。ただしWebカメラだけでは全身の動きをトラッキングすることはできません。手・足・体の動きもトラッキングしたい場合は、VRもしくはモーションキャプチャーデバイスを使う必要があります。

VRは、ヘッドマウントディスプレイを頭にかぶって両手にVR用のコントローラーを持つというのが基本のスタイルになるので、両手が塞がってしまいます。モーションキャプチャーデバイスは、企業系のVチューバーが採用している本格的な機器になり、価格も高いので個人で購入するのは難しいでしょう。

自分の声を入れたい場合には、マイクも用意しましょう。

ヘッドセットでもスタンドマイクでもどちらでもOKです。また、男性だけどかわいい女性の声にしたいという方は、ボイスチェンジのソフトを使用しましょう。「恋声」などの無料ソフトもあります。

また、VRを使う場合には、VRの動作自体が重いので、録画やライブ配信するにはかなり高スペックのPCが必要となります。

3.制作ソフトを用意

Vチューバーを作るには、Vチューバー制作ソフトを使うのが一番てっとり早い方法です。
Vチューバー制作ソフトには、一般的に以下の5つの機能(のいずれか)が搭載されています。

ソフトによって搭載されている機能は異なり、必ずすべての機能が搭載されているというわけではありませんので、その点はご注意ください。

・キャラクターのカスタマイズ
・VRMファイルのインポート・エクスポート
・トラッキング
・クロマキー合成用の背景
・録画機能

それぞれどんな機能なのか簡単にご紹介します。

キャラクターのカスタマイズ

既存の3Dモデルをカスタマイズできる機能です。どの部分をどの程度カスタマイズできるのかはソフトによって違いますが、顔、髪型、体型、身長、服装、アクセサリーなどを変更することができます。

VRMファイルのインポート・エクスポート

Vチューバー制作ソフトにはVRM形式のファイルを読み込んだり(インポート)、書き出す(エクスポート)機能が搭載されています。この機能が搭載されていると、

・他人が作った3Dモデルを自分でも使える
・自分が作った3Dモデルを他人に使ってもらえる
・同じ3Dモデルを別ソフトでも使える

などができるようになります。

トラッキング

自分の顔の表情や、頭の位置、口の動きなどをモデルに反映させるときに使うのがトラッキングです。トラッキングがあるからこそ、モデルが人間らしい動きをすることができます。Webカメラなどの機器と、Vチューバー制作ソフトのトラッキング機能を使って、モデルに表情を反映させるということになります。

クロマキー合成用の背景

クロマキー合成とは、切り抜き合成の一種で、特定の色の成分から映像の一部を透明にしてそこに別の映像を合成することを言います。背景色にはブルーやグリーンが多く使用されます。背景をブルーやグリーンにすると、その部分を別のソフトを使うことによって透明にすることができ、透明の部分に別の映像を合成することができます。

録画機能

モデルが映っている画面を録画する機能です。Vチューバー制作ソフト以外のソフトでも画面を録画することはできるので、この機能がなくても問題はありません。例えば、PCの画面に映っているものすべてを録画できる「Bandicam」というソフトもあります。

Vチューバー制作ソフト

Vチューバーを作るための一番手っ取り早い方法であるVチューバー制作ソフトには具体的にどんなソフトがあるのかご紹介します。

PC用ソフト

PC用のVチューバー制作ソフトは色々ありますが、ざっくり以下の3種類に分けられます。

1.Webカメラ・・・FaceRig、3tene、Hitogata、FaceVTuber、
2.VR・・・バーチャルキャスト、Vカツ、3D2
3.その他・・・VRoid Studio、メイアライブ

スマホ用アプリ

スマホには以下のようなアプリがあります。

エモモ、カスタムキャスト、Vカツ(スマホ版)、ホロライブ、REALITY Avatar

お手軽に無料ではじめる方法とは

「機材がない!モデルを作れない!何もわからないけどとにかくやってみたい!」という方向けに、無料ではじめる方法をご紹介します。無料ではじめる一番お手軽な方法はスマホ+アプリを使用することです。

スマホ用アプリは上記でご紹介したようにいくつかあるので、その中からお好みのものを選んでください。

いくつかあるスマホアプリの中でお勧めは「カスタムキャスト」です。カスタムキャストは、3Dキャラクターをスマホで簡単に作って即配信できる便利なアプリです。iPhone、Androidの両方で使用できます。

最大のメリットはスマホで直感的にキャラクターが作れることで、パーツを選んで組み合わせるだけでなく、指でパーツを回転したり移動してあわせることができます。また、簡単なフェイストラッキングとリップシンクが使え、iPhone X以上だとフェイストラッキングとARにも対応しています。

まとめ

近年職業のひとつとして認知されたユーチューバーですが、その中でも最近話題なのがVチューバーと呼ばれるCGなどで作成されたバーチャル(仮想)キャラクターのユーチューバーです。

自分の顔を出さずに動画を配信することができるので、ユーチューバーよりもハードルが低く、最近増えています。スマホが手軽ではありますが、PCを使用する方ができることが多く一般的な方法と言えます。PCを使用する場合のお勧めな方法はWebカメラ+Face Rigです。

PCを持っていなくてもっと手軽に無料ではじめたいという方にお勧めな方法は、スマホを使用する方法です。スマホ用のアプリも無料で使えるものがほとんどなので、自分にあったアプリを探して試してみましょう。

・Vチューバーをはじめるには、PCもしくはスマホが必要
・PCの場合には表情などをトラッキングするための機器が必要
Webカメラが一番安価
・モーションキャプチャーデバイスは個人で買うには高価
・モデル(キャラクター)が必須
・オリジナルモデルを作るには知識やソフトが必要
・既存モデルもカスタマイズ可能
・Vチューバー制作ソフトを利用するのが一番手っ取り早い
・Vチューバー制作ソフトには、基本的な機能がそろっている
無料で手軽にはじめるなら、スマホが一番
スマホ用アプリを利用すれば簡単にキャラクター作成から配信まで可能