高級腕時計といえばロレックスを思い浮かべる方が多いかと思います。最も有名なメーカーはロレックスかもしれませんが、時計業界には世界3大メーカーと呼ばれる御三家があります。その御三家のひとつがパテック・フィリップです。

そんなパテック・フィリップの数あるモデルの中で、もっとも人気があるといえるのがノーチラスというモデルです。そんなノーチラスについて、どのような時計なのか、予約はできるのかについてご紹介します。

パテック・フィリップとは

パテック・フィリップとは1839年2人のポーランド人によって創業されたスイスの高級時計メーカーで、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲとともに世界三大高級時計メーカーの一つとして知られています。

パテック・フィリップは、どんなに古い自社時計にでも修理することができるという「永久修理」を宣伝し、「パテック・フィリップの時計は一生もの」というブランドイメージを構築しました。

当初より品格ある紳士・淑女に向けた時計を作っており、顧客名簿にはヴィクトリア女王やローマ教皇、アインシュタイン、ウォルトディズニー、ブッシュ大統領など数々の偉人の名前が連なります。そのような顧客をもつパテック・フィリップの時計は社交界にも遜色なくコーディネートできるような品格あるデザインです。

そんなパテック・フィリップの魅力はどこにあるのかご紹介します。

1. 世界一のステータス性
2. 高貴なデザイン
3. 高い開発力と品質

1. 世界一のステータス性

冒頭でもご紹介したとおり、高級時計として有名なメーカーはパテック・フィリップ以外にもたくさんあります。また、安い時計やスマートフォンは巷に溢れています。そんな中で、高級時計を所有する大きな目的は「ステータス性があるものが欲しい」ということだと思います。

このステータス性としての重要なポイントになるのが「パテック・フィリップが時計業界の頂点にいる」と世間が認識していることです。つまり、パテック・フィリップには世界一のステータス性があります。

2. 高貴なデザイン

パテック・フィリップには様々なデザインの時計がありますが、そのどれもが異なった個性と高貴さをもっています。高貴さとはどのようなものかを説明すると、「控えめでありながら、美的完成度が高い」といえます。シンプルでありながら普遍性の高いデザインがパテック・フィリップの特徴です。

3. 高い開発力と品質

パテック・フィリップはシンプルで普遍性の高いデザインを基本としていますが、開発力は業界一です。パテック・フィリップの製品シリーズの中には「コンプリケーション」「グランドコンプリケーション」というシリーズがあり、複雑機能を搭載したモデルをひとつのシリーズとして展開しています。

一般的な時計メーカーでも、ひとつの製品シリーズのハイエンドモデルとして複雑機能を搭載したモデルをラインナップしています。しかしながら、パテック・フィリップではそれらを別シリーズとして切り離して展開しています。シリーズにするということは常に一定数のラインナップを揃える必要があり、ここにパテック・フィリップの複雑機能に対する自信を感じることができます。

パテック・フィリップは品質の高さも保証されています。

かつては、時計業界でも伝統と権威のある品質規定である「ジュネーブシール」をすべての機械式製品に取得しました。これだけでもすごいのですが2009年からはさらに厳格な社内規定である「パテック・フィリップシール」を設定し現在はこの規定に準じて製品を作っています。

ジュネーブシールは、製造における美的な基準と技術面での基準を設けたものでしたが、パテック・フィリップシールはさらに精度の基準にまで踏み込み、さらにはダイヤのセッティングやアフターサービスなどにも規定を設け、ハード面だけではなくソフト面にまでパテック・フィリップ品質を規定しているんです。

ノーチラスSSとは

ノーチラスは、パテック・フィリップ初のスポーツウォッチとして1976年に誕生した画期的なモデルです。丸みを帯びた8角形のベゼル、水平エンボス文字盤、従来のパテック・フィリップのどのモデルよりも大型サイズ。中でもノーチラスのデザインでもっとも特徴的なポイントは「耳」です。

ノーチラスSSの耳とは

「耳」とはケースの左右に飛び出した突起のことで、通常の時計にはない「耳」のデザインがノーチラスの最大の特徴です。この「耳」のようなデザインが生まれた理由はデザイン性だけではありません。構造的な理由がありました。それは防水構造です。

ノーチラスよりも4年前に発売されていたロイヤルオークが50m防水だったのに対し、ノーチラスは120m防水というスペックを備えました。

すでに別のメーカーの時計で600m防水というスペックを備えた時計が発売されています。スペックだけをみると120m防水でもスペックは大したことがないように思われてしまいますが、ノーチラスは「スポーツモデルは厚みがある」という常識を覆した時計なんです。

ラグジュアリースポーツウォッチの先駆け

ノーチラスはスポーティでありながらドレスウォッチのような薄さを合わせもった「ラグジュラリースポーツウォッチ」の先駆けなんです。ノーチラスは120mの防水性を持ち、「生活防水」の範疇を超えた現実的な防水性を備えた金字塔モデルであり、その防水性を高めた構造がノーチラスの「耳」なんです。

ベゼルとケース(裏蓋と一体化)という2ピース構造にし、その両方に「耳」を設け、その「耳」を噛み合わせてビスで固定するという構造にしたことによって高い防水性能を実現しています。

ノーチラスSSの相場

ノーチラスのステンレススチールの主要モデルの中でも一番人気のモデルは5711/1Aです。正規品での購入はほとんど不可能であり、ロレックスのデイトナと同じく新品価格を上回るプレミアム価格が付いています。

そんな5711/1Aの相場がどのようになっているのかご紹介します。

<定価>
3,080,000円(税抜)

実はノーチラス5711/1Aは一度定価が変更されています。

2018年2月28日までは2,710,000円(税抜)だったのですが、2018年3月1日から3,080,000円(税抜)と14%ほど値上がりしました。しかもその理由がコストや為替の影響による価格改定ではなく、このモデルを含む人気3モデルだけが価格が上がったようです。このようなことからもノーチラスの人気が伺えます。

<2018年8月の相場>
●文字盤:ホワイト
【並行店中古相場】4,500,000円~4,980,000円前後
【並行店新品相場】5,200,000円~5,480,000円前後●文字盤:ブルー
【並行店中古相場】5,600,000円~5,900,000円前後
【並行店新品相場】6,200,000円~6,500,000円前後

ノーチラスには複数の文字盤カラーが発売されていますが、その中でも圧倒的に人気があるのが「パテックブルー」と呼ばれる青の文字盤です。パテックブルーは、色もグレー味の強いブルーで、光り輝く明るさというよりは深みのある玄人好みの輝きといえます。

そんな青の文字盤はホワイトの文字盤よりも人気があり100万円ほど高い価格が付いており、新品の相場は600万円台前半から半ば。中古でも500万円台は当たり前です。

ノーチラスSSを購入するには

ノーチラスが人気があるのはわかっていただけたかと思います。しかもかなりのプレミアム価格。ノーチラスを正規店で購入することはできるのでしょうか?

結論から言うと、

人気希少モデルであるノーチラスについては、正規店各々で個別にルールが設けられているようです。パテック・フィリップジャパンから正式に出されている取り決めはないようですが、正規店それぞれで予約についてルールを設けています。

どのようなルールかというと、店頭で購入希望を登録し、商品が入荷した際には店の判断で登録リストから購入者を選定するというのが多いようです。予約制ではないので、登録すればいつかは購入できるという保証はありません。

では、どのような人なら購入のチャンスがあるかというと、条件が明確にされているわけではありませんが、考えられるのはそれはやはり購入実績でしょう。店の判断で購入者を選定するとなると、やはりこれまでにどれだけその店に貢献しているかという点が重視されるでしょう。

しかもその登録も、一見客はほぼ無理だと思っておいたほうが良いでしょう。他のパテック商品をそのお店で購入して顧客になってる方のみが予約できると思っておきましょう。

デイトナよりも正規店で購入することは難しい

年間1000本ほどしか生産されないモデルのため、それが世界の正規店へ出荷されるとなると年間1~2本ほどしか入荷することはないでしょう。そのため正規店で購入するのはかなり難しいといわざるを得ません。

希少性が高い高級時計というと、ロレックスのデイトナなどが有名ですが、パテックのノーチラスはロレックスのデイトナよりも正規店で購入することは難しいといわれています。

他の商品を買って実績をつくる手も

どうしても正規店でノーチラスを購入したいという方は、パテック正規店で他にも買い物をして入荷を気長に待つしかありません。人気のノーチラスとは違うとはいえ、パテックの他の商品であっても高額なので、ノーチラス以外の商品にはあまり興味がないという方は、プレミアム価格とはなりますが中古や平行輸入店で購入するほうが現実的かもしれません。中古であっても定価の1.5倍、新品なら低下の倍以上の金額を出せれば・・ですが。

なぜノーチラスSSが高騰したのか

以前からノーチラスは人気があるモデルだったのですが、ここまで高騰したのはここ数年。ではなぜここ数年で急に高騰したのでしょうか?原因はいろいろあるとは思うのですが、大きな要因として2016年に発売された「ノーチラス 40周年記念モデル」の登場があります。

40年記念モデルは、3針デイト付モデルとクロノグラフの2種類です。3針デイト付モデルはプラチナケースで限定700本。クロノグラフはホワイトゴールドケースで限定1300本で販売されました。

3針デイト付モデルのプラチナケースは定価12,740,000円(税抜)という超高額設定で、現在は2千万円オーバーもする価格で取引されています。このような話題性がきっかけとなって、ノーチラスモデル全体の相場が一気に上がりました。

資産価値だけでみれば、パテック・フィリップの商品の中にはノーチラスを超える時計は数多くあります。しかしながら、スポーツウォッチという特性により日常使いでの信頼感は他の商品よりもノーチラスの方が優れているといえます。ノーチラスが幅広い層から支持され人気がある理由はそこにあるといえるでしょう。

まとめ

ノーチラスはパテック・フィリップ初のスポーツウォッチとして1976年に誕生した画期的なモデルで、ケースは潜水艦「ノーチラス号」の舷窓をモチーフとして素材にステンレスを使用しています。

年間1000本ほどしか生産されないモデルで希少性が高くプレミアム価格となっており、中古でも定価の1.5倍、新品にいたっては定価の倍以上の価格で取引されています。正規店での購入は非常に困難で、定期店各々で個別に取り扱いのルールを設けており、店頭に並ぶことはまずなく、顧客でなければ予約などもできない状態です。

・パテック・フィリップは時計の世界3大メーカーと呼ばれる御三家のひとつ
・世界一のステータス性、高貴なデザイン、高い開発力と品質が魅力
・ノーチラスは、パテック・フィリップ初のスポーツウォッチ
・「スポーツモデルは厚みがある」という常識を覆した時計
・ラグジュラリースポーツウォッチの先駆け
・定価は3,080,000円(税抜)
・文字盤カラーは複数あるが「パテックブルー」と呼ばれる青の文字盤が人気
・青の文字盤はホワイトの文字盤よりも人気があり100万円ほど高い価格
・ノーチラスの取り扱いは正規店各々で個別にルールが設けられている
・正規店での購入は、顧客でないとほぼ不可能。登録すら厳しいのが実態。

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