妊娠したけどある事情で生むのが難しい時には人工妊娠中絶といった解決策があります。
しかし人工妊娠中絶は遅れるほど身体的な負担が増えていくため、早めに決断することが必要です。病院で人工中絶手術を受けた時には費用もかかってしまいます。
彼が負担してくれれば金銭的な負担が楽になるものの、逃げられてしまうと大変です。
そこで人工中絶手術はいつまでに受けたほうが良いのか、手術費用の相場は幾らなのか、彼に慰謝料を請求できるのかなどを詳しく紹介していきます。
人工中絶手術はいつまでに
人工妊娠中絶は何週まで進んでも受けられるものではありません。母体保護法に基づいて行われているのが人工妊娠中絶です。胎児が母体外で生命の保続ができない時期に行うのが人工妊娠中絶の原則となっています。
この時期は妊娠22週未満という決まりがあり、22週超えた時期の人工妊娠中絶は違法となるため、病院では受けられなくなるのです。
人工妊娠中絶を受ける前にはお互いの意思決定が必要になるため早めに相談しましょう。
人工中絶手術費用の相場について
保険は使えるのか
人工中絶手術を受ける上で気になるのが幾ら費用がかかるのかです。治療目的であれば保険が使えるため、費用を大幅に抑えることができます。
しかし人工中絶手術は治療目的ではないため、保険が使えないのが基本です。大きな人工中絶手術費用が発生しても全額支払しないといけません。ただしケースによっては保険が使えることがあります。
・性犯罪の被害に合って妊娠したなど
保険が使えるのか微妙な時は医師に相談してみると良いでしょう。
人工中絶手術費用には相場がある
病院によって人工中絶手術費用が異なるため、幾らかかるのか分かり難いですが、だいたいの相場があります。事前に相場を知っておくと手術費用が高いのか、安いのか分かりやすいです。妊娠12週未満(初期中絶手術)と妊娠12週以上22週未満(中期中絶手術)では相場が変わってきます。
妊娠12週未満では子宮内容除去術が多いです。
子宮内容除去術には掻爬法、吸引法と大まかに分けて2つあり、掻爬法のほうがポピュラーとなっています。どちらも短時間で終わる手術のために身体への負担が軽く、日帰りすることも可能です。この子宮内容除去術の費用相場は7万円から18万円ほどと言われています。
妊娠12週以上22週未満になると
胎児が大きくなっているため、子宮内容除去術ができないことがありました。そのためラミナリアといった医療機器で子宮頚管を広げ、子宮収縮剤により人工的な流産を起こすという方法を取ることが多いです。
子宮内容除去術よりも身体への負担が大きくなるため、数日ほどの入院が必要になります。人工的な流産が必要になった場合、費用相場は30万円から50万円となるため、子宮内容除去術の費用相場よりも大幅に上がってしまいます。
手術費用の他、手術前の診察費用や採血費用、手術後の診察費用なども発生することがあります。病院によって異なるため、事前に幾らかかるのか説明を聞いておきましょう。中期中絶手術の場合は死亡届の提出や火葬などが必要になるため、クリニックによっては受けられないことがあります。クリニックの場合は事前にホームページ等もチェックしておいても良いかもしれませんね。
人工中絶手術費用を抑える方法
保険が使えない人工中絶手術であっても医療費控除の対象になります。医療費が10万円以上かかった時は確定申告を行うと納めた所得税から戻ってくるのです。医療費10万円以下でも年収311万6000円未満の方は医療費控除が受けられることがあります。
医療費控除の他にも出産育児一時金を受け取りすることができます。一児42万円支給されるため、手術費用の負担を大幅に抑えることができるのです。
ただし妊娠12週以上という条件が付いているため、妊娠初期の場合は受け取りできません。人工妊娠中絶が経済的な理由という場合も受け取りできないことがあるため注意が必要です。出産育児一時金を受け取りするには加入している保険への申請が必要になるため、忘れずに行っておきましょう。
人工中絶の慰謝料は請求できる?
望んでない妊娠で、しかも、彼に人工中絶手術費用の負担はできないと逃げられてしまった場合、ほんと困りますよね。気になるのが慰謝料の請求ができるのかです。慰謝料の請求ができるかどうかはケースによって異なります。
精神的に受けた損害に対し、損害賠償金として支払されるのが慰謝料です。
性行為も人工妊娠中絶もお互い合意の上で行った場合、精神的な損害があっても相手の彼に慰謝料を請求することができません。ただし以下の場合は慰謝料を請求することが可能です。
・話し合いもせず人工妊娠中絶を強要した
・彼が妊娠が分かったら気が変わり、人工妊娠中絶を求められた
・避妊していると嘘を言い、避妊せずに性行為した
・実際には奥さんがいる彼から人工妊娠中絶を求められた
・人工中絶手術費用の支払を拒んだなど
人工中絶の慰謝料にも相場がありますが、状況によって異なります。
婚姻前では100万円から200万円が慰謝料の相場と言われています。精神的な損害が大きいほど慰謝料の相場も上がっていき、不貞行為もある場合は200万円から600万円、性犯罪の被害の場合は最高1,000万円ほどです。
慰謝料の請求方法は?
内容証明郵便を送付する
慰謝料を請求したい時はまずは相手に文書を送付します。
一般の郵便物では相手に受け取っていないと言われる恐れがあるため、内容証明郵便を利用して下さい。誰にどの内容の文書を送付したのか、郵便局が証明しているのが内容証明郵便です。内容証明郵便を送付したい時は差出郵便局の窓口にて受け付けしています。
調停または裁判
内容証明郵便を送付しても無視された、慰謝料の交渉を行ったがまとまらない時は調停または裁判といった解決策があります。簡易裁判所にて調停委員が間に入り、話し合いの上で合意を目指すのが調停です。お互い納得すればまとまりやすいですが、納得できないケースもあります。
法廷でお互い主張と立証を行い、裁判官に判決を下して貰うのが裁判です。慰謝料の支払を拒んでいる場合でも法的に解決できるというメリットがあります。
分からない時は専門家に相談
調停または裁判で解決したくても知識が無いので不安という場合は慰謝料の請求に精通している専門家(弁護士等)に相談すると良いでしょう。相談後に依頼すれば裁判となっても法的知識を持った専門家が全面的にサポートしてくれるために安心です。
弁護士への相談料は30分につき5,000円かかりますが、中には初回相談無料の弁護士事務所もあります。相談料が気になる方は初回無料になるかどうか調べておきましょう。
慰謝料の請求を正式に依頼すると着手金や報酬金といった費用が発生することが多いです。弁護士費用の支払が難しい時は分割払いができるか相談してみて下さい。団体によっては弁護士費用の立て替えを行っており、立て替え後は無理のない分割払いが行えます。
弁護士の紹介も受けられるので、一度、色々と探してみてください。
人工中絶手術費用の支払が難しい時は?
例え慰謝料を請求できたとしても人工妊娠中絶にはタイムリミットがあるため、早急に行うことが必要です。いったん病院への人工中絶手術費用の支払が必要になります。
相手との交渉により人工中絶手術費用の半額を支払するという内容でまとまっても、もう半額は自分で支払しないといけません。余裕が無い時は半額でも支払するのが難しいことがあります。
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まとめ
ここまで人工中絶手術費用について説明してきましたが如何でしたか。
分かりやすいようにまとめると次のようになります。
・人工中絶手術費用は保険が使えないことが多い
・妊娠12週未満の人工中絶手術費用相場は7万円から18万円ほど
・妊娠12週以上22週未満の費用相場は30万円から50万円ほど
・医療費控除や出産育児一時金で負担を抑えられる
・人工中絶の慰謝料は100万円から200万円が多い