デイトナといえば、多くのモデルが定価を超えるプレミア価格で取引されている高級腕時計ロレックスの人気モデルです。現行のモデルのみならずアンティークモデルにも超が付くレアモデルが存在します。その象徴とも言えるモデルが「デイトナ・ポールニューマン」です。
そんなデイトナ・ポールニューマンについてご紹介します。
デイトナ・ポールニューマンとは
デイトナ・ポールニューマンとは、アカデミー賞を3度も受賞したことがある大俳優「ポール・レナード・ニューマン」が所有していたロレックスのモデルの1つであるコスモグラフ デイトナRef.6239のことを言います。
コスモグラフ デイトナRef.6239は、1963年に登場してからほんのわずかな期間のみ生産された希少性の高いモデルで、世界で約2000本ほどしか出回っていないと言われています。ただでさえ、希少性の高いモデルなのに、ポールニューマンが身に着けていたというステータス性も加わり、超レアモデルとなっています。
ポールニューマン愛用モデル
ポールニューマンが愛用したデイトナRef.6239は、1969年に公開された映画「レーサー」の撮影中に、妻である女優ジョアン・ウッドワードからプレゼントされました。
裏蓋に「安全運転を」を意味する「DRIVE CAREFULLY ME」の文字が刻印されており、プロのレーサーでもあったポールニューマンはこの時計を非常に気に入り、オンオフ問わず身につけていました。
しかしながらポールニューマンは1984年を境にデイトナRef.6239を身に着けなくなり、ファンや時計愛好家達の間ではデイトナRef.6239を紛失もしくは壊してしまったのではないかと噂され、その後もデイトナRef.6239を身に着けている姿を見ることはできず、2008年にポールニューマンはガンで亡くなりました。
このことからポールニューマンが愛用していたデイトナRef.6239は「消えた伝説のロレックス」と言われるようになり、幻の一品として崇められるようになりました。
しかし、その後幻の一品である「デイトナ・ポールニューマン」は娘であるネル・ニューマンの当時のボーイフレンドであったジェームズ・コックスへ譲っていたことが判明しました。ジェームズ・コックスは譲り受けたデイトナRef.6239を大事に所有・保管していましたが、ニューマンの娘ネルがネル・ニューマン財団を立ち上げたことをきっかけに、財団の会計士として働いていたコックスは、時計を売却して得られた金額を財団に寄付することを明言し、時計をオークションの競売にかけることにしました。
オークションの競売にて財団へ寄付
2017年10月26日に競売会社であるフィリップ社を通してニューヨークで競売にかけられ、当初の予定をはるかに超える超高額入札となり、腕時計史上最高額となる約20.3億円で落札されました。
この20.3億円という価格は、それまでロレックスの最高金額だった約5.8億円を遥かに上回り、デイトナ・ポールニューマンが伝説の1本であることを世間に証明することになりました。
デイトナRef.6239の特徴
・ケース 直径37mm 厚さ12mm
・防水 30m
・ムーブメント 手巻き
・ベゼル タキメーターベゼル
・製造期間 1960年代半ば頃
レーシングドライバーが着用することを想定し、平均時速を計測できるタキメーターベゼル、視認性に長けた反転カラーのインダイヤル、レースシーンに映えるスポーティーなデザインなど、これまでのクロノグラフとは一線を画するモデルで、生産期間は短いのですが、文字盤のバリエーションが多いことが特徴のひとつです。
ベゼルやダイヤルの表記の違いが確認されていて、生産初期のベゼルは60から300までのタキメーター表記となっており、『UNITS PER HOUR』の表記は、12時から2時位置に刻印されていた。(初期生産分のベゼルの中でも、275の表記の有無によって2種類のタイプが確認されている。)
また、レアダイヤルとして「ポールニューマンダイヤル(別名:エキゾチックダイヤル)」が存在します。数多くのモデルが存在するロレックスの中でも「ポールニューマンダイヤル」は別格の珠玉アンティークモデルとして位置づけられています。
ポールニューマンモデル
ポールニューマンが実際に愛用していたモデルはデイトナRef.6239ですが、一般的にポールニューマンが愛用した初代デイトナRef.6239から3代目のデイトナまでにみられる手巻き式のモデルがポールニューマンモデルと言われいます。
2代目デイトナ Ref.6262/6264
3代目デイトナ Ref.6263/6265
デイトナが正式に登場する前にプレデイトナというモデルも存在しました(プレデイトナ Ref.6238)。タキメーターベゼルを持たないデザインでデイトナの前身となるモデルでかなり貴重なモデルです。第4世代となるRef.16520系から自動巻きとなっています。
デイトナ・ポールニューマンの相場
ロレックスのデイトナのアンティークモデルの中でも最も希少性の高いのがポールニューマンモデルです。
現在どれくらいの価格で取引されているのか、楽天市場での価格を調べてみました。
2代目デイトナ Ref.6262/6264 中古品3180万円超~3560万円超
3代目デイトナ Ref.6263/6265 中古品1120万円超~2270万円超
中古品にもかかわらずなんと1本1000万円超、モデルによっては3000万円以上と、とんでもないプレミアム価格になっています。現行モデルのデイトナも希少で手に入らないと言われていますが、手巻きの旧型モデルはその比ではありません。旧型モデルは生産が終了しており、市場に出回っている本数が少ない、むしろどんどん減っているので、今度もさらに価値をあげていくと予想されます。
また、デイトナは現行モデルと旧型モデルがお互いに影響しあって高騰しているともいえます。
デイトナ・ポールニューマンに投資価値はあるか
ポールニューマンモデルのデイトナの販売価格は上記でご紹介したとおり、1000万円超とかなり高額になっています。しかしながら、一般的にアンティークの時計は販売価格が高くても、それを売りに出したときの買取価格はそうは高くありません。
例えば、通常30万円程度で販売されているアンティーク時計の買取価格は10万円もいかないことがほとんどです。
ただし、デイトナ・ポールニューマンは買取価格も例外です。デイトナ・ポールニューマンの中古品の買取相場は400万円~800万円と予想されています。つまり、デイトナ・ポールニューマンは資産としてみても非常に価値が高いといえます。
デイトナ・ポールニューマンを投資目的として購入する価値はあるのでしょうか?
結論から言いますと、今投資目的として購入するのはお勧めしません。
デイトナ・ポールニューマンが希少性が高く、またアンティークファンの間でも非常に人気のモデルであることは間違いありません。このモデルをどうしても手に入れたい!という方であれば、どうぞ購入してください。しかしながら、資産としてつまり投資という目的で購入を考えている方は、ちょっと一呼吸おいてみてください。
デイトナはどのモデルも人気があるとはいえ、ポールニューマンモデルはさすがに価格が高騰しすぎています。例えるならば2017年末に仮想通過が高騰した時に似たような感じです。
供給よりも需要が勝っていると物の価値は上がります。高くても手に入れたいという方が出てくるからです。価格が上がるとそれが話題となり注目を浴びることによってさらに人気を呼び価格が上がります。
このように人気がさらに人気を呼び、デイトナは価格の高騰を続けていますが、投資目的ということはいざというときには売ってお金に換えたいということだと思われます。非常に高い値段で取引されるが故に、早々に売り買い可能な商品ではないため、買取業者もある程度の在庫リスクを加味して買取額を決めています。急いで売ると損失が発生する可能性が高いです。
そのため、投資目的という視点であれば、ポールニューマンモデルよりは現行モデルのデイトナをお勧めします。なぜかというと、現行モデルは買取価格も高騰しているんです。
現行モデルのデイトナ116500LNの買取相場をご紹介します。
2017年12月 最安値 約150万円~最高値 約190万円 平均値 約170万円
2018年12月 最安値 約140万円~最高値 約280万円 平均値 約210万円
2019年5月 最安値 約200万円~最高値 約280万円 平均値 約220万円
<ホワイト>
2017年12月 最安値 約165万円~最高値 約205万円 平均値 約185万円
2018年12月 最安値 約150万円~最高値 約270万円 平均値 約210万円
2019年5月 最安値 約200万円~最高値 約280万円 平均値 約220万円
最安値から最高値まで幅はありますが、平均値の価格をみても定価127万円に対して買取価格が高くなっているのがわかっていただけるかと思います。さらに、2017年よりも2018年のほうが高額になっているのがわかるかと思います。
ですのでデイトナを投資目的で購入するのであれば販売価格だけではなく、買取価格も高騰している現行モデルをお勧めします。
まとめ
高級腕時計ロレックスの中でも多くのモデルが定価を超えるプレミア価格で取引されている人気モデルのデイトナ。現行のモデルのみならずアンティークモデルにも超が付くレアモデルが存在するのですが、その象徴とも言えるのが「デイトナ・ポールニューマン」です。
2017年10月にニューヨークで競売にかけられたポールニューマン愛用の時計は、腕時計史上最高額となる約20.3億円で落札され、それまでロレックスの最高金額だった約5.8億円を遥かに上回り、デイトナ・ポールニューマンが伝説の1本であることを世間に証明しました。
アンティークファンを魅了するポールニューマンモデルですが、デイトナを投資目的で購入しようとお考えの方には、ポールニューマンモデルよりは現行モデルのデイトナがお勧めです。現行モデルのデイトナは、販売価格だけでなく買取価格も定価を上回っているので、投資目的の購入にお勧めです。
・デイトナRef.6239は1963年発売で世界で約2000本の希少モデル
・2017年にポールニューマンが愛用していたデイトナが腕時計史上最高額で落札
・初代デイトナRef.6239から3代目までをポールニューマンモデルと言う
・中古品で1本1000万円超、モデルによっては3000万円超での取引
・投資目的での購入の場合、ポールニューマンより現行モデルがお勧め
・現行モデルは、買取価格が高騰しており、定価を上回っている