ソフト闇金

「ソフト闇金」という言葉を聞いたことはありますか?これまでに聞いたことがある闇金とはどう違うのか、また消費者金融とはどう違うのか。ソフト闇金とはどんな業者でどんなことに注意したらいいのかご紹介します。

ソフト闇金とは

そもそもソフト闇金とどんな業者のことを言うのでしょうか?いわゆる闇金や一般的な消費者金融と何が違うのでしょうか?

一般的な消費者金融は、必ず国や地方公共団体へ業者登録をして営業許可を受け、貸金業者の管理団体である日本賃金業協会に加盟しています。

賃金業者は「賃金業法」「利息制限法」「出資法」などの法律を守って営業をしています。それに対し闇金とは、業者登録をせず営業許可を取らずに営業している法律を守らない違法業者のことを言います。

ソフト闇金はどんな業者なのかというと、答えはズバリ、闇金と同じ違法業者なんです。では闇金とソフト闇金はどんな違いがあるのでしょうか。闇金と言うとどんなイメージがありますか?

・脅迫めいた取り立て
・柄の悪い(怖そうな)人達の取り立て
・自宅や職場まで取り立て
・トイチ(10日で1割の金利)などの高い金利

などを思い浮かべるのではないでしょうか。

これらのイメージや行政からの闇金業者への厳しい取り締まりなどを受け、闇金業者や闇金業者を利用しようと思う人は少なくなったのですが、闇金業者に代わって新たに登場したのがソフト闇金なんです。

「ソフト闇金」とインターネットで検索すると自らソフト闇金を名乗っている業者が数多くヒットします。サイトの作りも明るくきれいなイメージで、大手の消費者金融のサイトと遜色がなく、サイトだけみると合法的な金融業者と間違えてしまいそうです。

「闇金」というとすでに怖いイメージが定着しているので、多くの方は借りるのを躊躇してしまいますが、「ソフト闇金」は以下の3つの理由により、注意が必要です。

理由1.闇金よりも金利が低い

闇金だと10日で3割~5割くらいの利息を取るところ、ソフト闇金では10日で1割~3割と金利を少し下げてソフト感を出そうとしています

理由2.親身に相談にのってくれる

闇金と言うと、怖そうなチンピラ、ヤクザ風の人が経営しているイメージが強かったですが、ソフト闇金では対応してくれる人もホスト風のイケメンや普通のサラリーマン風など見た目もソフト化しており、さらに親身になって話を聞いて対応してくれるなど、対応もソフトになっています。

理由3.横柄な取り立てをしない

闇金の取り立ては自宅や職場まで取り立てにきたり、暴力的な行為に及んだりとかなり脅迫めいた取り立て行為を行っていましたが、ソフト闇金では返済の遅れに対して、返済日を延ばしてくれたり、金利などの支払い条件を緩和してくれたりなど、意図的にソフトなイメージを利用者に与えて好印象を持たせるような対応をしています。

以上のように、外見的なイメージだけではなく、中身も闇金よりソフトにして、闇金の怖いイメージを払拭しようとしているんです。

ただ、ソフトになったとは言え闇金です。誰も利用する人がいなければ商売として成り立ちません。では、どんな人がソフト闇金を利用しているのでしょうか。

ソフト闇金が生まれた背景

改正賃金業法という法律が2006年に公布され2010年に完全実施されました。主なポイントは以下になります。

・総量規制・・・年収の3分の1以上融資してはいけない
・利息制限法・・・上限金利を年15%~20%以内とする

この法律が実施されたことよって、消費者金融業界は商売で大きな制約を受けることになり、消費者金融業者の数が激減しました。それによりこれまで消費者金融を利用していたのに、規制によって利用できなくなった人たちも出てきました

そのような合法的な賃金業者から融資を受けたくても受けれない層をターゲットにし、新たな借入先として台頭してきたのがソフト闇金です。

ソフト闇金のターゲット

ソフト闇金がターゲットにしている人はどんな人たちなのでしょうか?債務整理(自己破産など)経験者、もしくは債務整理中の人から、生活保護受給者、専業主婦、パート・アルバイトの人まで、幅広くアプローチしています。

ソフト闇金ではまさにこの人たちをターゲットにして、甘い言葉とソフトな対応で違法融資を進めてくるんです。

・ブラックリストでも融資可能
・他社で断られても確実に融資できます
・審査不要

などといった甘い言葉で注意を引き「お客様のために」「借りられない人のために」などといった綺麗ごとがホームページなどに書かれていますが、料金システムをよく見てみましょう。ソフト闇金はかなりの高金利で貸付をしているので注意しましょう。

ソフト闇金の注意すべき特徴とは

ソフト闇金は闇金に比べて「親身」「優しい」「取り立てがない」ことから良心的な消費者金融だと錯覚しがちなのですが、それは大きな間違いです。闇金の怖いイメージを払拭するためにソフトなイメージを前面に出しているだけで、中身は違法業者であることに変わりはないんです。

違法な金利

ソフト闇金の利息や利用方法をよく見てみると、どの業者もかなりの高金利であることがわかります。

例えば、ソフト闇金でよくある利息を例に挙げると

・10日間で利息20%
・2週間で利息30%
・1ヶ月で利息50%

などがあります。

これを合法的な消費者金融で金利として表示されている年利に換算するとどのくらいになるかというと・・・

・10日間で利息20%→ 20%×365日÷10日間=730%
・2週間で利息30%→ 30%×365日÷14日間=782%
・1ヶ月で利息50%→ 50%×365日÷30日間=608%

合法的な消費者金融の場合は、利息制限法という法律に基づいて金利を定めており、一番高くても年利20%となっています。

仮に10万円を1か月間借りた場合の利息を比べてみると・・・

・消費者金融 年利20%→ 10万円×20%÷365×30日=1644円
・10日間で利息20% 年利730%→ 10万円×730%÷365×30日=60,000円
・2週間で利息30% 年利782%→ 10万円×782%÷365×30日=64,274円
・1ヶ月で利息50% 年利608%→ 10万円×608%÷365×30日=49,973円

消費者金融での最高年利である20%の場合であっても利息は1600円程度のところが、ソフト闇金では5万円~6万円超と、かなり高い金利であることが分かっていただけるかと思います。

ソフト闇金では1回あたりの貸付額が小口なため、高い金利であるということを認識せずに借りてしまいがちなので注意が必要です。

急に態度を変える可能性もある

ソフト闇金では返済の遅れに対して、返済日を延ばしてくれたり、金利などの支払い条件を緩和してくれたりなど、闇金と比べるとソフトな対応とご紹介しましたが、これはあくまでも最初のうちだけです。返済されないとわかると、急に手のひらを返して厳しい取り立てを行う業者も少なくありません。

家族や職場に取り立ての連絡が行ったり、また別の方法として別のソフト闇金業者からお金を借りさせたりもします。返済不能になった利用者に対しては、「全額返済するまでしつこく取り立てを行う」「別の業者に情報を売る」などのような手段を取って「何としてでも貸したお金を回収する」ということは覚えておきましょう。

違法であるがよほど悪質でなければ逮捕されない

ソフト闇金は、「闇金」と自称している通り賃金業者としての登録をしていない違法業者になります。通常、消費者金融などの賃金業者は営業許可が必要で、その許可を得るためには賃金業法などの法律を守って融資を行わなければなりません。

しかしながらソフト闇金は賃金業者として登録をしていないので、賃金業法(総量規制など)や利息制限法などを守らずに営業をしています。

では、営業許可なく違法な営業をしているのになぜ摘発されないのでしょうか?

個人がお金を貸すという契約になっている

「個人がお金を貸す」という形の契約であれば、賃金業法(総量規制など)を守らなくても、営業許可を取らなくても問題ないという理由があります。また、本来であれば個人間融資であっても利息制限法(上限年利は20%まで)は適応されるのですが、実は、「個人が」利息制限法を超えた金利でお金を貸しても罰則を与えられることはないんです。

このように、ソフト闇金は「賃金業者ではない」ことを前提として、法律の抜け道を使って融資を行っているんです。

個人間のトラブルは民事不介入で動いてもらえない

警察は個人間のトラブルに極力介入しないという民事不介入という概念があるため、明確に被害が発生した場合(暴力沙汰、悪質な取り立て)でなければ、警察が動いてくれることはありません。

つまり、ソフト闇金からお金を借りて利息が払えなくて生活できないなんて状況にたとえなったとしても、よほど悪質なことをされない限り警察がソフト闇金業者を逮捕してくれることはありません

法律の制限を無視した違法業者を利用する以上、法律で守ってもらうというも難しいということになります。つまりソフト闇金の利用はあくまでも自己責任となるんです。後々困ったことにならないためにもソフト闇金でお金を借りるのはオススメしません。

まとめ

ソフト闇金とは最近台頭してきた賃金業者。旧来の闇金の怖いイメージを払拭しソフトな印象を利用者に与えていますが、営業許可を取らず、利息制限法の範囲を超えた融資を行っている違法業者です。いざとなったら厳しい取り立てを行うこともあるので注意が必要です。

法律の制限を無視した違法業者を利用するということは、何かあった時に法律で守ってもらうことも難しく、すべては自己責任になるということをしっかり念頭に置いておきましょう

・ソフト闇金とは、闇金業者のソフト版
・金利、対応、取り立てが闇金よりもソフト
・ソフト闇金も闇金も違法業者
ブラックでも融資可能、審査不要といった甘いうたい文句
・返済不能になるとしつこい取り立て
・別の業者に個人情報を売られる場合も
警察の取り締まりは民事不介入のためよほどのことがない限り難しい