仮想通貨に興味がない方でも、一度くらいは「ビットコイン」をいう言葉を耳にしたことがある位メジャーになりつつある仮想通貨。
高騰のニュースがよく流れ、投資の一つとしてこれまで仮想通貨をよく知らなかった層でも興味を持ち始める位、身近に感じるようになり始めていたのではないでしょうか。
そんな中、2017年12月22日、ビットコインを始めとするアルトコインなど、仮想通貨市場全体が軒並み暴落するという衝撃的なニュースがありました。
ビットコインに関して言えば、その下落率はリーマン・ショックも超える大暴落でした。
なぜこのような暴落が起きたのか原因を見ていきましょう。
仮想通貨の暴落の原因となるもの
今回の大暴落に関わらず、仮想通貨はまだ市場が未完成のため、値上がり値下がりの激しい商品です。仮想通貨の歴史も浅く、取引所や法律に関してもここ数年の間にできたものばかりです。
そのため、他の投資にはない大きなリターンの可能性も秘めていると言えるのですが、他の投資にはないリスクもあります。今回の仮想通貨の暴落もそのリスクの一つです。
そのリスクの一つである仮想通貨の暴落には、どんな原因あるのかを見ていきましょう。
仮想通貨のセキュリティ問題
仮想通貨とはその名のとおり、現物がなくインターネット上に保管したり、使ったりする通貨です。それがメリットの一つでもあるのですが、逆にハッカーなどの格好のターゲットになっています。
仮想通貨のシステム自体はしっかりしたものですが、仮想通貨を保管しておくウォレットや、取引所のパソコンがハッキングされ被害に遭うケースが多くなっています。
また、近年はスマートフォン用の仮想通貨ウォレットアプリなども数多く出ています。ただ、その大半がセキュリティに問題を抱えているというデータもあります。個人的な情報が漏れてしまう、データを保護するためのものが間違って実装されていたという問題もあり脆弱性が問題とされています。
このように、仮想通貨はインターネット上で取引する通貨ゆえに、常に盗難の危険があるのです。莫大な金額が盗難されるような事態が起こると、暴落につながってしまいます。
税金支払いのために個人投資家が売る
仮想通貨で儲かった場合、気になるのが税金です。
現物がない仮想通貨であっても、もちろん儲かった分(利益分)だけ税金を払う必要があります。
2017年12月1日に国税庁により仮想通貨の税金に関する正式発表があり、以前よりも仮想通貨の税金が明確になりました。個人の所得は10の区分に分けられています。このうち9つの所得区分に入らないものが「雑所得」という区分になるのですが、仮想通貨による利益はこの雑所得に分類されます。
仮想通貨による利益は「雑所得」に分類され、利益によってかかる税金も違います。雑所得は給料などの他の所得と合わせて、多ければ多いほど税率が高くなる累進課税制度が適用されます。
仮想通貨の取引で利益を得た場合、仮想通貨の他に多額の所得がある人であれば、累進課税により最高で約55%もの税金がかかるので、大儲けした人は注意が必要です。
しかも一方で、仮想通貨の取引で損失が発生したとしても、他の雑所得(先物、FXは除く)とは損益通算ができず切り捨てられる点も注意が必要です。
また、雑所得は1月~12月の1年間で、合計が20万円以上の場合に税金を納める必要があります。
では仮想通貨の税金はいつ発生するのでしょうか?
基本的には、仮想通貨の利益を現金、物、別の仮想通貨に交換した場合に、税金が発生、課税対象となります。現金、物に交換した場合はわかりやすいですが、他の仮想通貨に交換した場合も税金が発生、課税対象となるのでこの点も注意が必要です。
課税対象となる仮想通貨の利益とは、儲かった分から損失を差し引いた額になります。
例えば複数の仮想通貨を保有している場合、ある仮想通貨で多額の利益が出ていたとしても、他の仮想通貨で損失が出ていれば利益から損失を引いた額が課税対象となります。損失が出たとしても利益から差し引けるので安心と思いがちですが、ここにも注意点があります。それは税金の計算は「年ごと」という点です。
税金の計算は「年ごと」とは?
「2017年に行った仮想通貨の取引」と「2018年に行った仮想通貨の取引」は、税金の計算上、何の関係もないということです。
どういうことかと言うと、
例えば、2017年6月に100万円利益が出て、7月に100万円損失が出た場合はプラスマイナスゼロになり、税金はかかりません。
しかし、2017年12月に100万円利益が出て、2018年1月に100万円の損失が出た場合でも、2017年12月にでた100万円の利益には税金がかかってしまうのです。
このように年をまたいでは損益通算ができないんですよね。
この税金対策として、年内に損失を確定させたい個人投資家が、保有している仮想通貨を売りに出す、ということが多くなった場合、暴落につながってしまう可能性があります。
税金支払いのために法人が売る
それでは法人の場合の税金はどうなのでしょうか?
もちろん法人の場合でも税金がかかりますが、個人とは税率などが異なります。
法人については、法人税・法人住民税・法人事業税という3種類の税金があり全て合わせても最高で35%程度です。個人の場合の最高税率は約55%なのでそれに比べると税金がとても安いですよね。
しかも法人の場合は、個人の時とは違って、仮想通貨で損失が発生したとしても、他の事業の所得と損益通算することができるんです。また、通算しきれずに欠損金が発生しても、翌期以降9期までなら繰り越しすることができます。
このように、仮想通貨の運用においては、個人よりも法人のほうが、税金面ではメリットがあります。
その他良い投資案件が出てくる
仮想通貨と言えば「ビットコイン」が有名ですが、その他にも様々な仮想通貨が出てきています。その中で今後成長が期待できる仮想通貨として人気が高いものをいくつかご紹介します。
イーサリアム(Ethereum)
ビットコインに次いで、時価総額ランキング第2位の通貨です。イーサリアムは2015年7月にリリースされ、直後は約300円ほどの価格だったのですが、今その価格は1000倍以上になっています。リリース当初100万円購入していたら1億円を超えています。
イーサリアムの特徴は「契約」です。「スマートコントラクト」という技術で、契約の条件確認や履行を自動的、強制的に行い、それをすべて保存することが可能なんです。
これまでは、権利や契約の確認・履行・保存には多くの時間やコストがかかっていましたが、それを超低コストでインターネット上に保存することが出来るんです。
例えば不動産業界であれば、これまで時間とコストがかかっていた不動産売買などを超低コストでしかも自動で行うことができるようになる可能性があるということです。
すでにマイクロソフトが提携、日本のトヨタ、三菱UFJ銀行などもイーサリアム連合に加盟などのニュースがあり、イーサリアムの将来性が見込まれて大きく値を上げているようです。
リップル(Ripple)
仮想通貨と言えばビットコインと言える位有名なビットコインにも実は弱点があり、送金にとても時間がかかるんです。リップルはその弱点を解決した通貨です。ビットコインだと、送金に長い場合は10分以上の時間がかかってしまうのですが、リップルの場合は数秒ととっても早いんです。
リップルは時価総額ランキング3位。2017年に入ってからは異常に伸びています。リリース当初は1円にも満たない通貨だったのですが、2017年に入ってから急激に伸び50円付近まで値上がりしました。100万円分購入していたら5000万円の価値になったということです。
リップルの特徴である送金が早いという点に「銀行」が目をつけ、現在世界中の大手銀行がリップルと提携し、導入を進めていることもあり、将来性が高い仮想通貨です。
テンエックス(TenX)
テンエックスの特徴を一言で表すと仮想通貨版デビットカードです。まだ日本には上場していませんが、海外取引所ではすでに上場していて、時価総額は全仮想通貨中22位。将来的に1000億円規模になると期待されています。仮想通貨を通常のデビットカード感覚で使うことを構想して作られた通貨なんです。
テンエックスはデビットカードを発行して、それを利用することで仮想通貨での決済を可能にしています。テンエックスの他にも仮想通貨のデビットカードはあるのですが、「すでに実際に使用できる」「チャージ式ではなくリアルタイムのレートによって法定通貨に換算される」という2つの点で他の仮想通貨のデビットカードより優れています。
すでに世界200か国、VISA、マスターカードに対応している店舗やネットショップ、ATMで利用可能になっているんです。支払の際にこのテンエックスカードを使用すると、即座にその場でドルや円などの現実通貨に変換されて支払いをすることができ、しかもその際の決済手数料は、仮想通貨取引所で設定されているもの以外は発生しないという点も嬉しいポイントです。
ネム(NEM)
ネムも2017年に入ってから急激な伸びを見せている通貨です。NEMは日本の大手取引所であるコインチェックが取り扱い始めてから1ヶ月で価格が急騰しました。ちなみに日本の取引所ではまだ扱っている銘柄の数が少ないので、上場したばかりの仮想通貨は上昇しやすい傾向があります。
2015年にリリースし、長い間1円にも満たない通貨でしたが、今では20円以上になっています。100万円分購入していたら2000万円以上の価値になったことになります。
借金をしてまでも買う人が増加していることで相場が上昇していると、暴落した時に一気に売りに殺到する
仮想通貨は、株式市場と違い「ストップ高」や「ストップ安」がないので、高騰・下落しやすいという一面を持っています。株価の場合は、ある程度の上がり下がりでストップがかかるため、高騰・下落に関してはある一定の場所で止まるのですが、仮想通貨にはこのストップがないため、買う人が多ければそれだけ高騰し、売る人が多ければそれだけ下落してしまいます。
買いが先行し価格が上昇している時はいいのですが、何かしらの要因によって一度大幅な下落が始まると、「損をしたくない」「早めに損切りしたい」と相次いで投げ売りするパニック売りが続出します。
自分が保有している仮想通貨の価格が下落していくのをみて、堪え切れずに損切りする人が相次ぎ大量の売りが発生すると、大暴落につながってしまいます。
仮想通貨の買い増しをするべき状況は?
仮想通貨の価格の値上がり値下げはとても激しいです。そんな仮想通貨ですが買い増しに最適なタイミングはあるのでしょうか?
まず、現在の仮想通貨市場がどのような状況なのかと言うと・・・
市場規模の拡大中
仮想通貨の市場はまだまだ未完成。取引所や法律に関してもここ数年の間にできたものばかり。つまり、まだ始めていないこれから始めようと思っている方も多いということです。
実際、新規の口座開設も多く、新規参入者が増えており、市場に流れる資金も増えているという状況です。今まさに仮想通貨の市場は拡大中ということです。
暴落→元に戻るのパターンを繰り返している
代表的な仮想通貨の過去チャートを見るとわかるのですが、「暴落→元に戻る」という流れを何度も繰り返し、価格をどんどん上げています。
仮想通貨自体が新しいポジションを確立しようと市場拡大している途中なので、一時的な暴落はありますが、底値を上げて飛躍を続けているといった現状です。
これらの現状を踏まえると買い増しのタイミングは、ズバリ「暴落したとき」なんです。現状では、暴落したとしてもまたしばらくすると元の価格に戻し、それ以上に成長しているので、価格が下がり、買いやすい金額になっている時こそ買い増しするチャンスと言えます。
買い増しをするのは仮想通貨が上る見込みがあること⇒新規参入者が多い時であれば下がった段階で買い増しをしても
仮想通貨の新規参入者が多い時であれば下落した時に買い増ししても、上昇する可能性があります。暴落した時は、新規参入者がパニック売りといわれる狼狽売り(ろうばいうり)をしている可能性があります。儲けるチャンスでもあります。
ただ、買い増しをするのは、仮想通貨が上がる見込みがあることが前提です。暴落しているからといって必ずしも買い増しをすれば良いというわけではありませんので、状況を良く見極めることが大切です。
まとめ
仮想通貨は現在何を買っても上がると言われているほど加熱しています。先日暴落しましたが、また上がる可能性は多いにあります。まだまだ成長中の仮想通貨ですが、仮想通貨のリスクを知ったうえで、投資の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
・ストップ高、ストップ安がないので高騰・暴落しやすい
・仮想通貨市場はまだ未完成&拡大中
・利益は雑所得として累進課税が適用される
・ビットコイン以外にも様々な通貨が登場